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皮膚所見から始める紫斑診療—形態学的分類と緊急度評価—

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導入

紫斑は皮膚科外来でしばしば遭遇する所見ですが、紫斑を呈する疾患は軽症の皮膚血管炎から血友病まで様々な病態を持つことが特徴です。
そのため、鑑別を進めると同時に、緊急度評価も同時に進める視点が重要となります。

本稿では主に皮膚科外来での診療を意識しつつ、紫斑の診療について以下の順で整理します。

  • 紫斑の原因別分類
  • 紫斑診療でのレッドフラッグ
  • 紫斑の鑑別アルゴリズム
  • まとめ

紫斑の原因別分類

紫斑は「赤血球の血管外への漏出」を意味します。血管外に赤血球が漏れ出る原因から原因別に分類することができます。また、それぞれの紫斑の分布や性状から形態別に分類することができ、形態からある程度紫斑の原因を推察することができます。
まずは形態別の分類を示し、その後に原因別の分類と代表的な疾患をまとめます。

図表1:形態別分類

形態別分類形態代表的な疾患主な原因
点状出血直径2mm以下の紫斑ITP血小板性
斑状出血直径10mmを超える紫斑血友病凝固異常性
網状皮斑網目状の紅色皮斑抗リン脂質抗体症候群血管性
触知性紫斑浸潤を触知する紫斑白血球破砕性血管炎血管性
色素性紫斑反復性の出血によるヘモジデリン沈着を反映した赤褐色〜金褐色の斑Schamberg病血管性

形態分類は病態推定のヒントになります。ただし、病態や疾患と形態が必ずしも1対1対応しているとは限らない点にご注意ください。

  • 点状出血
    直径2mm以下の紫斑を点状出血といいます。点状出血はごく小さい出血により生じます。斑状出血と比較して血小板による一次止血の異常で認めやすいです。
  • 斑状出血
    直径10mmを超える紫斑をいいます。二次止血の障害など、ある程度の出血があることを示唆します。
  • 網状皮斑
    皮膚微小循環の障害により、周辺の静脈叢に脱酸素化した血液のうっ滞が生じます。周辺の紫〜青色の静脈叢と相対的に淡く見える中心部とが網状皮斑の形態を取ります。また、網状皮斑は紫斑の分類の一項目として扱われることがありますが、血管外への赤血球漏出を伴わないという意味で厳密には紫斑でないものも含まれている点に注意が必要です。
  • 触知性紫斑
    血管壁の炎症により構造破綻や機能障害のため赤血球が漏れ出て紫斑を形成します。それと同時に、血管壁の炎症のために炎症細胞浸潤や浮腫が引き起こされ隆起が生じます。結果として浸潤を触れる紫斑となります。
  • 色素性紫斑
    本態は毛細血管炎などでの反復する出血です。漏れた赤血球が分解する過程でヘモジデリンが沈着し褐色〜金褐色を示します。

図表2:原因別分類

原因別分類病態・所見の要点疾患例
血小板性(減少/機能異常)点状出血が主体。粘膜出血を伴いやすい。ITP、薬剤性血小板減少、TTP/HUS(TMA)
凝固異常性皮下出血や広範な斑状出血が目立つ。DIC、血友病
血管性血管壁障害または透過性亢進。触知性紫斑は血管炎を示唆。皮膚血管炎、IgA血管炎、色素性紫斑、老人性紫斑

原因別分類は鑑別の最初の分岐です。血小板性は点状出血優位、凝固異常は大きな皮下出血、血管性は触知性紫斑や局在性が鍵になります。


紫斑診療のポイント

紫斑を呈する疾患はこれまで確認してきたように多様です。その中には緊急度の高い疾患もあるため、緊急度が高い疾患の徴候がないか確認しながら鑑別を進めることが有用です。

  • 緊急疾患を示す徴候の確認
    以下の症状を呈するときには重度の血小板異常や凝固異常、血管炎、重症感染症などを視野に入れる必要があります。全身管理の要否を検討し、必要ならば積極的に他科連携も考慮されます。
    ・バイタル異常を伴う
    ・臓器障害を伴う
    ・急速進行性の紫斑
    ・強い疼痛を伴う紫斑
    ・粘膜出血
  • 皮疹形態から病態を推定する
    点状出血・斑状出血・触知性紫斑・網状皮斑・色素性紫斑など、形態的分類を行います。形態的な特徴から病因を想定し、血小板性が考慮されれば血小板数、凝固異常性であれば凝固因子、血管性であれば生検、など必要となる検査を組み立てていきます。

まとめ

紫斑の診療では、緊急度の高い疾患を示す徴候の有無について確認しつつ、形態学的特徴から病態を推定して鑑別を進めていくことが実践的です。
紫斑診療でのポイントは以下のとおりです。

  • 紫斑は緊急性を評価しつつ、鑑別を進める。
  • 形態学的特徴から病態を推定する。
  • 形態での分類、病因での分類を考慮して検査を組み立てる。

参考文献

  • DermNet NZ. Purpura.(https://dermnetnz.org/topics/purpura)

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皮膚科専攻医の思考ノート
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皮膚科専攻医。日々の診療と学習で生じた疑問を、臨床で使える形に整理して記録しています。皮膚科初学者〜専攻医の「つまずきやすいポイント」を中心に、思考過程と学びを共有します。
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