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KOH陽性を前にしたときの考え方― 糸状真菌を認めたときの解釈 ―

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白癬が疑われる皮膚病変に対してKOH法を施行し、糸状菌を確認した場合、白癬と診断する。普段の診療の中でごく自然に行っていることですが、いつの間にか KOH 陽性=白癬 と無意識に結びつけている自分に気づき、本当にそれでよいのだろうかと考えるようになりました。
今回はKOH法での糸状菌を認めた際の解釈について整理してみました。

私の現在の結論は、 
「KOH法で糸状菌を確認できた場合、ほとんどは白癬としてよい。ただし、わずかな例外がある。」
というものです。

その例外は、次の2つに分けられると考えています。
①偽陽性の場合
②真の陽性であっても白癬とは言えない場合
です。

偽陽性の場合

まずはKOH法がどんな検査か簡単に確認しましょう。
KOH法は角質をKOH液による処理で角質細胞をほぐし、その中に存在する真菌成分を観察する検査法です。
この過程が適切に行われない場合に偽陽性のリスクが高くなります。

具体的には、以下のような状況が考えられます。
・コンタミネーション 環境中の真菌や、不適切な道具の管理で他患者の検体が混じってしまうリスクが考えられます。
・糸状菌との誤認 いわゆるモザイク菌や、衣服の繊維、カンジダなどの他の真菌を糸状菌と誤認するケースです。

コンタミネーションについては適切な検体や道具の管理でリスクを下げることができます。糸状菌との誤認については、特に初学者にとって難しい場面もありますが、実際の像を多く見ることで徐々に見分けられるようになる印象があります。

真の陽性でも白癬と言えない場合

KOH法自体を適切に実施し、糸状菌を確認したときでも白癬と言えないケースについて考えてみましょう。
・皮膚に糸状菌が付着していても白癬の症状を認めないとき 定着なのかコンタミネーションなのかは判別し難いですが、糸状菌を認めても症状がなければ白癬とは言い難いでしょう。
・死菌を認めたとき これは上で述べたことに含まれますが、特に白癬治療開始後を想定しています。真菌の構造が残っていればKOH法で検出できてしまいます。死菌と生菌の区別はつかないので治療判定には使いづらいのではないでしょうか。

これらはいずれも、検査そのものではなく「どの場面で検査を行うか」という問題に帰着します。
検査手技に習熟していても、適切な使用場面を理解していなければ、検査の有用性は十分に発揮されません。

まとめ

ここまで、KOH 法で陽性であっても白癬とは言えないケースを見てきましたが、改めて振り返ると、これらはいずれも頻度の高い状況ではありません。
KOH 法に不慣れなうちは難しく感じるかもしれませんが、比較的少ないトレーニングで、適切な場面において適切に実施できる検査だと感じています。
日常診療において KOH 法で糸状真菌を確認した場合、原則として白癬と診断してよい
これが、現時点での私の考えです。

余白ノート

KOH法を行うときに、顕微鏡のコンデンサーを下げるよう指導されたことがあります。言われるがままにそうしていましたが、最近になって、十数年前の教科書に「平行光の方が輪郭がわかりやすいため、コンデンサーを下げるとよい」との記載を見つけました。
しかし同じ教科書内で、「最近の顕微鏡では、コンデンサーを下げなくても絞りを絞ることで平行光に近づけることができる」とも書かれていました。
次は絞りを絞ってみようと思いながらもコンデンサーを下げる癖がついており未だ試せていません。こうした小さな疑問も、少しずつ検証していきたいところです。

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皮膚科専攻医の思考ノート
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皮膚科専攻医。日々の診療と学習で生じた疑問を、臨床で使える形に整理して記録しています。皮膚科初学者〜専攻医の「つまずきやすいポイント」を中心に、思考過程と学びを共有します。
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